マミートラック

公開日 2015.8.13  深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)

マミートラック(まみーとらっく)

 子育てをしながら働く中で「残業ができない」「責任ある仕事を任せてもらえない」等の理由により、男性と比べて昇進・昇格等が不利になる、女性のキャリアのこと。会社や労働者が「男性は仕事、女性は家庭」という旧来の性的役割意識にとらわれていること、あるいは会社の育児支援や男女雇用機会均等への取り組み等が不十分なこと等から生じるものとされている。女性労働者が不本意ながらマミートラックを選択せざるを得ない場合も多く、「女性労働者の経験や能力を十分に活用できない」「女性労働者の意欲の低下を招く」等の問題点が指摘されている。
 厚生労働省「平成25年度雇用均等基本調査」によると、課長相当職以上の、管理職全体に占める女性割合は6.6%であり、この割合が30~40%に達する欧米諸国と大きな隔たりを見せている。これを受けて、政府は『日本再興戦略』(平成25年6月14日)の中で「2020年に指導的地位に占める女性の割合30%」という目標を掲げ、子育て支援策を拡充する、企業に対して女性役員の登用を求めるなどの施策を行っているが、現状では、それらが十分な成果を上げているとは言い難い。
 今後、日本企業に広くみられるマミートラックを解消し、女性労働者のさらなる活用を図るためには、次の取り組みが必要である。

(1)従業員のワーク・ライフ・バランスに対する意識を高め、男性も育児等に積極的に関わること等を会社として推奨し、固定的な性的役割意識を見直す機会を労働者に与える。

(2)テレワークや短時間勤務の導入などの働き方の改革を進めることにより、育児がキャリア形成において不利にならないようにする。

(3)能力や成果の評価結果に基づいて昇進・昇格を決定していくことにより、男女の雇用機会の均等を図り、公正なキャリア開発を実現する。