公開日 2015.7.9 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)
過重労働撲滅特別対策班(かじゅうろうどうぼくめつとくべつたいさくはん)
過重労働に係る大規模事案、困難事案などに対応するための専従対策班として、2015年4月1日に東京労働局と大阪労働局に新設された組織。通称は「かとく」。
違法な長時間労働を強いる企業の中には、パソコンに保存された労働時間のデータを改ざんするケースなども多く、それに対応するには、専門機器を用いてデータ解析を行うなどの高度な捜査技術が必要とされる。そこで、東京で7名、大阪で6名の労働基準監督官からなる専門チームを立ち上げ、全国展開する大企業を主な対象として長時間労働の問題を集中的に調査し、さらに悪質なケースは刑事事件として書類送検することによって、過重労働に対する指導・監督の強化を図るものである。
主な業務は、長時間にわたる過重な労働が行われ、労働基準関係法令に違反し、または違反する疑いがある、次のような事案について、積極的かつ効率的な処理を行うことである。
(1)監督指導において事実関係の確認調査が広範囲にわたる事案
(2)司法事件で捜査対象が多岐にわたる事案
(3)被疑事実の立証などに高度な捜査技術を必要とする事案
15年7月、全国展開する靴の小売店チェーンの運営会社を労働基準法違反容疑で書類送検したことにより、過重労働撲滅特別対策班が世間に広く知られることになった。