公開日 2015.7.9 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)
ゆう活(ゆうかつ)
政府が推進する「夏の生活スタイル変革」の通称。勤務終了時刻が早まることで生まれる夕方の時間で生活を豊かにしていくという考え方から名付けられた。
「ゆう活」の「ゆう」には、
ゆうやけ時に
悠々とした時間が生まれる
友人と会える。遊ぶ時間が増える
家族で過ごす優しい時間ができる
新しい人・モノ・ことと自分が結ばれる
――などの思いが込められている。
「夏の生活スタイル変革」は、朝早くから働き始め、明るい夕方のうちに仕事を終わらせて、夕方からは家族や友人との時間を楽しむことにより、ワーク・ライフ・バランスの実現を図り、国民が豊かさを実感できるようにすることを目的とした、政府が展開している国民運動である。2015年7月1日からは、全国の国家公務員を対象に、夏季の2カ月間に限り、出勤時間を1時間早め、かつ原則として残業を行わない朝型勤務が導入された。政府は、このような働き方の見直しを企業にも促す一方で、政府広報などを通じた情宣活動を積極的に展開して、国民の「ゆう活」に対する関心を高めようとしている。
従前から日本企業の中には、時間外労働の抑制や電気代の節約を目的として、欧米のサマータイム制にならった独自の時差勤務の仕組みを導入する動きが見られたが、「ゆう活」への関心が高まるにつれ、今後は、このような動きが広がるものと期待されている。すでに「ゆう活」の実現に向けて働き方の見直しに取り組む企業が現れており、その事例は厚生労働省の「働き方、休み方改善ポータルサイト」で紹介されている。
その一方で、「始業時刻を前倒しにしたところで、仕事量そのものが変わらなければ、終業時刻には大きな変化は生まれない」など、『ゆう活』に対する批判的な見方もある。このような批判に対して、政府は、「ゆう活」の実施のためには業務効率化が不可欠であり、また、「ゆう活」は、それぞれの企業や働く人の実情に応じた自主的な取り組みを可能な範囲で実施するべきものであるとの見解を示している。
≪参考≫厚生労働省ホームページ
『夏の生活スタイル変革(ゆう活)について ―はじめよう!夕方を楽しく活かす働き方』