個人番号利用事務・個人番号関係事務

公開日 2015.5.13  深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)

個人番号利用事務・個人番号関係事務(こじんばんごうりようじむ・こじんばんごうかんけいじむ)

 「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(以下「番号法」という)で定められた個人番号を利用する事務。
 「個人番号利用事務」とは、番号法9条1項または2項の規定により、行政機関、地方公共団体、独立行政法人等その他の行政事務を処理する者が、その保有する特定個人情報ファイルにおいて個人情報を効率的に検索し、および管理するために必要な限度で個人番号を利用して処理する事務をいう。事業者においては、健康保険組合、あるいは個人番号利用事務の委託を受けた事業者のみが、個人番号利用事務を行うことができる。
 「個人番号関係事務」とは、番号法9条3項の規定により個人番号利用事務に関して行われる、他人の個人番号を必要な限度で利用して行う事務をいう。具体的には、事業者が、従業員等の個人番号を給与所得の源泉徴収票、支払調書、健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届等の書類に記載して、行政機関等および健康保険組合等に提出する事務であり、およそ従業員等を有する全ての事業者が、この事務を行う。なお、従業員等が、扶養親族の個人番号を扶養控除等申告書に記載して、勤務先である事業者に提出することも個人番号関係事務に当たる。
 事業者は、原則として、これらの事務の範囲の中から具体的な利用目的を特定しなければ個人番号を利用することはできず、例外として認められる場合(「金融機関が激甚災害時等に金銭の支払いを行う場合」および「人の生命、身体または財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意があり、または本人の同意を得ることが困難である場合」)を除き、本人の同意があったとしても、これらの事務以外で個人番号を利用してはならないとされている。