コントロール・バンディング

公開日 2015.4.10 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)

コントロール・バンディング(こんとろーる・ばんでぃんぐ)

 化学物質のリスク・アセスメント(危険性または有害性などの調査)を簡易的に行うツールで、もともとは、ILO(国際労働機関)が、開発途上国の中小企業を対象に、有害性のある化学物質から労働者の健康を保護するために開発した手法である。
 コントロール・バンディングによるリスク・アセスメントは、次のステップで進められる。

(1)対象となる作業の選定

(2)作業条件に関するデータ(使用する化学物質の有害性、化学物質の揮発性・飛散性、1回・1日の取り扱い量)の入力

(3)化学物質のランクおよびリスクレベルの表示

(4)作業内容とリスクレベルに応じた対策シートの表示

 コントロール・バンディングでは、有害性、揮発性・飛散性、取り扱い量などのデータを、一定の幅(バンド)をもつランクに分類し、その分類結果に基づいて化学物質のリスクレベルや取るべき対策を表示する。したがって、「労働者のばく露濃度を測定しなくても(化学物質の取り扱い量と揮発性・飛散性からの推定によって)、リスク・アセスメントができる」「化学物質に詳しくなくても、リスク・アセスメントを行い、実施するべき対策を検討することができる」などの特徴がある。
 2014年6月25日に公布された「労働安全衛生法の一部を改正する法律」では、一定の危険性・有害性が確認されている化学物質についてリスク・アセスメントを行うことを事業者の義務としている(施行日は16年6月までの政令で定める日)。厚生労働省は、コントロール・バンディングによる化学物質リスク簡易評価法をウェブサイト(「職場のあんぜんサイト」)に公開して、その実施を支援している。

化学物質リスク簡易評価法(リスクアセスメント実施システム)のウェブサイト:
http://anzeninfo.mhlw.go.jp/ras/user/anzen/kag/ras_start.html