公開日 2015.4.10 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)
特別安全衛生改善計画(とくべつあんぜんえいせいかいぜんけいかく)
労働安全衛生法などの関係法令に違反し、一定期間内に同様の「重大な労働災害」を複数の事業場において発生させた企業に対して、当該企業の事業場において再び同様の重大な労働災害を発生しないようにするために必要な再発防止対策について、厚生労働大臣が作成指示する計画。労働安全衛生規則の一部改正に伴い、2015年6月からこの計画の作成指示に関する仕組みが実施される予定である。
計画の作成指示の対象となる「重大な労働災害」は、死亡災害または障害等級1級から7級までに該当する障害が生じたもの、もしくは生じるおそれのあるものとされる。また、「再発を防止するため必要がある場合」とは、同一企業において、次の法令違反により、同様の「重大な労働災害」を3年以内に複数の事業場で発生させた場合である。
(1)労働安全衛生法、作業環境測定法またはじん肺法およびこれらの法律に基づく政省令
(2)労働基準法第36条1項ただし書きおよび労働基準法施行規則18条(坑内労働等有害業務制限)
(3)労働基準法62条ならびに年少者労働基準規則7条および8条(年少者の有害業務制限)
(4)労働基準法63条(年少者の坑内労働等禁止)
(5)労働基準法64条の2および女性労働基準規則1条(女性の坑内労働等禁止)
(6)労働基準法64条の3および女性労働基準規則2条および3条(女性の危険有害業務の禁止)
作成を指示された事業者は、指示書に記載された期限までに、①計画の対象とする事業場、②計画の期間・実施体制、③重大な労働災害の再発防止のための措置などを記載した計画を作成し、厚生労働大臣に提出しなければならない。
なお当該企業が、計画の作成指示や不適当な計画の変更指示に従わない場合、作成した計画を実施しない場合には厚生労働大臣が勧告を行い、その勧告にも従わない場合は企業名を公表することとされている。