安全衛生優良企業

公開日 2015.2.17 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)

安全衛生優良企業(あんぜんえいせいゆうりょうきぎょう)

 労働者の安全や健康を確保するための対策に積極的に取り組み、高い労働安全衛生水準を維持・改善している企業として、国から認定を受けた企業。厚生労働省は、2015年6月をめどに、これら企業を評価、認定する仕組みを実施する予定である。
 安全衛生優良企業の認定を受けるには、次の基準を満たすことが必要である。

【安全衛生優良企業の評価項目の概要】

区 分 主 な 評 価 項 目
必要項目1:
企業の状況として満たしていることが必要な項目

・過去3年以内に労働関係法令の重大な違反がない

・過去3年間のすべての年において、労働災害発生状況等が同業種平均に比べ低い

・過去3年以内に法令違反を理由に国から企業名を公表されていないなど

必要項目2:
企業の取り組みとして満たしていることが必要な項目

・安全衛生に取り組む組織体制の整備

・企業のトップも含む全社的な取り組み

評価項目:
企業の積極的な取り組みを評価する項目

・安全衛生活動を推進するための取り組み状況

・健康管理の取り組み状況

・メンタルヘルス対策への取り組み状況

・過重労働防止対策の取り組み状況

・受動喫煙防止対策の実施状況

・安全でリスクの少ない職場環境の整備の取り組み状況(製造業等に限る)

(1)必要項目1、2をすべて満たすこと

(2)評価項目すべてを満たした場合の合計点と比して「健康管理、メンタルヘルス対策、過重労働防止対策、安全でリスクの少ない職場環境の整備の各取組み状況の項目については、いずれも6割以上」、かつ「全体としては8割以上」の点数であること


 認定の有効期間は、原則として3年だが、基準を満たさないことが確認されたときには認定は取り消される。
 認定を受けた企業は、安全衛生優良企業のシンボルマークを商品や広告などに使用する、求人情報に記載するなどにより、安全で働きやすい企業であることを世間にアピールできる。また、国は、厚生労働省ホームページに優良企業名を掲載する、ハローワークにおける求人活動で求職者にアピールする、一般競争入札総合評価落札方式により入札を行うときの加点事由として評価項目に盛り込む――などのインセンティブを企業に付与することとしている。