労務費率

公開日 2015.1.19 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)

労務費率(ろうむひりつ)

 建設事業において労災保険料を計算するときに用いられる「請負金額に対する賃金総額の割合」を示す値。
 一般的な事業において、労災保険料は「賃金総額×労災保険率」で計算されるが、請負による建設の事業は数次の請負によって行われるのが常態であり、元請人がその下請負人に雇用される労働者へ支払われる賃金総額を正確に算定することが困難となる。このため特例として、賃金総額の代わりに「請負金額×労務費率」を用いて、それに労災保険率を乗じることによって労災保険料を算出することが認められている。
 労務費率は、厚生労働省が3年ごとに公表される「労務費率調査」によって、実際の建設の事業における請負金額に対する賃金総額の割合に基づいて定められる。
 「平成26年労務費率調査」は、平成24年10月1日から平成25年9月30日までの間に終了した、原則として請負金額500万円以上の建設事業の中から抽出した9876事業を調査対象としており、この調査結果に基づき、平成27年度から適用される労務費率が、次表のとおり定められた。

【平成27年度から適用される労務費率】

事業の種類 労務費率
水力発電施設、ずい道等新設事業 19%
道路新設事業 20%
舗装工事業 18%
鉄道または軌道新設事業 25%
建築事業(既設建築物工事業を除く) 23%
既設建築物設備工事業 23%
機械装置の組み立て
または据え付けの事業
組み立てまたは取り付け 40%
その他のもの 22%
その他の建設事業 24%

※平成27年度から適用される労務費率については、消費税額を請負金額に含まない前提で設定されている。