短時間労働者の待遇の原則

公開日 2014.12.10 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)

短時間労働者の待遇の原則(たんじかんろうどうしゃのたいぐうのげんそく)

 「事業主が、雇用するパートタイム労働者の待遇と正社員の待遇を相違させる場合は、その待遇の相違は、職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない」とする原則。2015年4月1日から施行される改正パートタイム労働法の8条として新設された。
 従来、日本企業におけるパートタイム労働者は、単純業務や補助的業務等に従事し、その待遇は、正社員よりも低いものであった。しかし、近年、高いレベルの職務を担当する、または人事異動の対象となるパートタイム労働者もおり、いわば正社員並みの働きが求められる一方で、処遇面では正社員に見劣りするという不合理な格差が問題視されるようになった。こうした問題の改善に向け、パートタイム労働者の公正な待遇を確保することを目的としてこの原則が定められた。
 なお、2015年のパートタイム労働法の改正では、この原則の新設と併せて、次の変更が行われた。

(1)正社員と差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者の対象範囲の拡大

正社員との差別的取扱いが禁止される対象を、雇用期間の定めのないパートタイム労働者に限定していた規定が改定され、有期労働契約を締結しているパートタイム労働者もその対象に含まれることになった。

(2)パートタイム労働者を雇い入れたときの事業主による説明義務の新設

事業主は、パートタイム労働者を雇い入れ時に、雇用管理の改善措置の内容について、説明しなければならないこととされた。

(3)パートタイム労働者からの相談に対応するための体制整備の義務の新設

事業主は、パートタイム労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備しなければならないこととされた。