公開日 2014.11.27 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)
源泉徴収(げんせんちょうしゅう)
会社や個人が、給与などを支払うとき、あるいは個人に講演料などの報酬を支払うときなどに、その給与・報酬から所定の方法により算出した所得税および復興特別所得税(以下、所得税等)を差し引いて、国に納付する制度のこと。
所得税の納付は、給与などの支払いを受けた者が、その年の所得金額とこれに対する税額を計算して、自主的に申告して納付する「申告納税制度」を建前としているが、特定の所得については、それを支払う者(源泉徴収義務者)が所得税等を徴収して納付する「源泉徴収制度」を採用している。
源泉徴収の対象となる「給与所得」とは、使用人や役員に支払う俸給や給料、賃金、歳費、賞与のほか、これらの性質を有するものをいう。なお、手当も「給与所得」とされるが、例外として、次のものは非課税となる。
食事の現物支給や商品の値引き販売など、物、権利その他の経済的利益をもって支給される「現物給与」も、原則として給与所得の収入金額とされるが、特定の現物給与については、金銭給与とは異なった取り扱いが定められている。
なお、退職手当も、源泉徴収の対象となるが、給与所得とは別個の「退職所得」として所得税等の計算および徴収が行われる。
源泉徴収制度は、日本においては、利子所得については1899年から、給与所得については1940年から採用されており、海外でも多くの国で採用されている。
源泉徴収制度については、「給与支払者に納税義務を負わせることにより、所得税等を確実に、かつ効率的に徴収できる」「給与所得者の納税の手数を省ける」等のメリットがある反面、「給与所得者の税に対する意識を希薄にする」等のデメリットも指摘されている。