HRM(human resource management)

公開日 2014.10.21 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)

HRM(human resource management えっちあーるえむ)

 「人的資源管理」と訳され、「ヒト」を重要な経営資源として捉えて、長期的かつ戦略的な観点から有効活用していこうとする考え方および管理手法。
 1980年代にアメリカから広まった考え方・手法で、それまでの「PM(=Personnel Management:人事管理)」が、経済学、行動科学、経営戦略論などの影響を受けて、高度化したものである。PMとHRMの主な違いは次の点にある。

(1)PMでは、ヒトを、生産要素の一部、すなわち「細分化された職務を実行する労働力」として捉えて、それを監視・統制することに重点を置く。HRMでは、ヒトを、意思や感情を持ち「経営戦略を実現する資産」として捉えて、それを育成、開発、活用することに重点を置く。
(2)PMは、労働時間や賃金の決定およびそれらに関する労使交渉など、ヒトの管理に関わる限定的な機能を遂行する。HRMは、要員計画の策定から、採用、配置、教育、労働条件の決定、良好な労使関係の構築まで、経営戦略に関わる総合的な機能を遂行する。
(3)PMは、人件費を「コスト」と捉えて、短期業績との関連において適正化を図る。HRMでは、人件費を戦略実現のための「投資」と捉えて、長期的な視点から費用対効果の最適化を図る。


 日本企業においても、経済の低成長化や少子化、グローバル化が進む中で、経営戦略とそれを実現する人材の開発・育成が重要視されるようになってきており、HRMへの関心が高まっている。
 なお、経営戦略との結びつきを強調した「SHRM(=Strategic human resource management)」、グローバル化を意識した「IHRM(=International human resource management)」などの用語が使われることもある。