過労死等防止対策推進法

公開日 2014.7.22 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)

過労死等防止対策推進法(かろうしとうぼうしたいさくすいしんほう)

 過労死等の防止対策を効果的に推進するために、国、地方公共団体、事業主、国民がそれぞれ担う義務などを定めた法律。2014年6月20日、参院本会議で可決、成立した(施行は、成立後半年以内とされている)。
 この法律では、「過労死等」を「業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害」と定義し、過労死等を防止するための対策を効果的に推進することを国の責務としている。また、地方公共団体には国と協力して対策を推進する努力義務を、事業主には国、地方公共団体の対策に協力する努力義務を、国民には過労死等を防止することの重要性を自覚し、これに対する関心と理解を深める努力義務を定めている。

 この法律の主な内容は、次のとおり。

(1)政府は、毎年、国会に、過労死等の概要および政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況に関する報告書を提出しなければならない
(2)政府は、過労死等の防止のための対策に関する大綱を定め、公表しなければならない
(3)国は、過労死等に関する調査研究等を行うものとする
(4)国および地方公共団体は、過労死等の防止に関する啓発、相談体制の整備、民間団体の活動支援等に対して、必要な施策を講ずるものとする
(5)11月を「過労死等防止啓発月間」とする
(6)厚生労働省内に過労死等防止対策推進協議会を設置する。厚生労働大臣は政府の大綱の案を作成するに当たり、同協議会の意見を聴くものとする