アクティブ・エイジング

公開日 2014.3.20 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・ 社会保険労務士)

アクティブ・エイジング

 人々が歳を重ねても生活の質を向上させることができるように、健康維持、社会参加、安全な生活の機会を最適化するプロセス。2002年に開催された第2回国際連合高齢者問題世界会議においてWHO(世界保健機構)が提唱した概念である。
 背景には、世界各国で高齢化が急速に進む中で、新たな経済・社会的問題が表面化してきたことがある。
 EUは、2012年を「アクティブ・エイジングと世代間の連帯のためのヨーロッパ年」と定めて、高齢化社会への対応を見直す取り組みを行っている。具体的には、事例紹介によってアクティブ・エイジングに関する人々の意識を高め、高齢者の雇用機会の拡大や高齢者向けのサービス・製品を開発するマーケット創出などを促して、EU全域に新たな高齢化社会の枠組み構築に注力した。
 日本においては、高齢化は個人や家族の問題として取り扱われることが多かったが、近年、若年労働者の減少が見込まれる中で高齢者の活用が社会的な課題になってきたこと、年金や医療などの社会保障制度の枠組みが揺らいできたこと等を背景として、アクティブ・エイジングに対する関心が高まってきている。また、厚生労働省では、日本の高齢化対策の経験と知見を、急速に高齢化が進むアジア諸国で活かすための取り組み(検討会の開催など)も進められている。