公開日 2013.10.16 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・ 社会保険労務士)
高額療養費制度(こうがくりょうようひせいど)
公的医療保険において、同一月(1日から月末まで)に医療機関や薬局で支払った自己負担額(ただし、入院時の食費負担や差額ベッド代等は含まない)が一定の金額を超えた場合、その超えた金額を保険者が支給する仕組み。
同一月に支払った自己負担額については世帯で合算することができ、合算額が自己負担限度額を超えた場合には、その超過額が高額療養費として支給される(ただし、70歳未満の者の場合、合算できる自己負担額は2万1000円以上のものに限られる)。
協会健保の場合、自己負担限度額は、次のとおり設定されている。
(1)70歳未満
所得区分 | 自己負担上限額 |
上位所得者 (標準報酬月額53万円以上) | 150,000円+(医療費-500,000円)×1% |
一般 | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% |
低所得者(住民税非課税の者) | 35,400円 |
(2)70歳以上75歳未満
※低所得者Ⅱは、「Ⅰ以外の者」、Ⅰは「総所得金額等にかかる各種所得がない
70歳以上の被保険者本人またはその被扶養者」
なお、高額療養費として払い戻しを受けた月数が1年間(直近12カ月間)で3月以上あったときは、4月目から自己負担限度額がさらに引き下げられることになっている(これを「多数該当」という)。
平成22年度の高額療養費の支給額は1兆9789億円となっており、10年間で2倍以上の額となっている。厚生労働省では、高額療養費制度の所得区分を細分化して、自己負担限度額をきめ細かく設定することを検討している。