物価スライド

公開日 2013.10.16 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・ 社会保険労務士)

物価スライド(ぶっかすらいど)

 年金額の実質価値を維持するため、物価の変動に応じて年金額を改定する仕組み。国民年金、厚生年金保険などの公的年金に導入されており、これらの制度では、前年(1~12月)の消費者物価指数の変動に応じて、翌年4月から年金額が自動的に改定される。

 なお、2013年9月までの年金額は、2000年度から02年度にかけて物価が下落したにもかかわらず、マイナスの物価スライドを行わなかったため、本来の年金額より2.5%高い水準(これを「特例水準」という)で支払われていた。特例水準は、2013年10月以降、3年間をかけて解消することになっており、2013年10月分以降の年金額はそれ以前の金額から1.0%引き下げられ、さらに2014年4月に1.0%、2015年4月に0.5%の引き下げが予定されている(ただし、物価・賃金が上昇した場合には、引き下げ率の見直しが行われる)。

 なお、公的年金については、少なくとも5年に1度は財政検証を行い、おおむね100年間にわたり年金財政の均衡を保てるように設計することを原則としているが、財政均衡を保つことができないと見込まれる場合には、給付水準を自動的に調整することとしている。この仕組みは「マクロ経済スライド」という。