公開日 2013.9.27 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・ 社会保険労務士)
職業性胆管がん(しょくぎょうせいたんかんがん)
1,2-ジクロロプロパンやジクロロメタンに長期間、高濃度ばく露することにより発症し得ると推定される胆管がん。
2012年3月以降、大阪労働局管内の印刷事業場の労働者等から、洗浄剤として使用した化学物質が原因で胆管がんを発症したとして労災請求がなされた(この事業場で胆管がんを発症した者は16名であり、このうち7名が2012年12月末日時点で死亡している)。これを機に、厚生労働省は、同年9月から「印刷事業場で発生した胆管がんの業務上外に関する検討会」において業務との因果関係について検討、2013年3月14日に報告書を公表して、これら化学物質と胆管がんとの関係性を認めた。
この結果を受けて、厚生労働省は、次の対応を行った。
(1)労災請求事案の決定手続等
大阪の印刷事業場の労災請求について、速やかに決定等を行うように指示。
また、1,2-ジクロロプロパンまたはジクロロメタンにより胆管がんを発症したとする労災請求の時効については、報告書公表日まで進行しない取り扱いとした。
(2)化学物質のばく露防止対策の強化
1,2-ジクロロプロパンについては、必要なばく露防止措置を検討し、特定化学物質障害予防規則等の改正などを行う、また、ジクロロメタンについても、有機溶剤中毒予防規則に基づくばく露防止措置の遵守を徹底することとした。
なお、2013年10月1日より、労働基準法施行規則別表第1の2に「1,2-ジクロロプロパンにさらされる業務による胆管がん」と「ジクロロメタンにさらされる業務による胆管がん」が追加され、これらが労災補償を受けられる業務上疾病に含まれることが明確化された。