2013年08月20日掲載

「ポジティブ・オフ」特別調査―企業の休暇取得の実態と改善への課題を探る - 「ポジティブ・オフ」特別調査―企業の休暇取得の実態と改善への課題を探る(2)

 

Chapter1
企業にとっての休暇取得促進を図るメリット



 休暇の取得促進、それに向けてこれまでの働き方を見直していくことは、休暇の主体である社員のみならず、職場の活性化や生産性向上、新たなアイデア・取り組みの創出、社員の定着・ロイヤリティ向上など、事業の成長基盤を築く意味合いで企業にもメリットが多いものと考えられる。こうした社員・企業双方のメリットを拡大し、それらを社会・経済の活性化に結び付けて“ 三方よし” の循環を生み出すことが「ポジティブ・オフ」運動の目的である。
 そこでまず、取り組みによってもたらされる企業にとってのメリットについて、回答者がどのように考えるかを八つの選択肢で尋ねてみた[図表1]。その結果、最も多かったのは「社員の心身の健康維持・増進につながる」で、「そう思う」の回答が全体の40.3%、これに「ややそう思う」を合わせた割合は89.8%と全体のほぼ9 割に上っている。同じく、「そう思う」「ややそう思う」を合わせた割合でみると、次いで多いのが「働き方にメリハリが生まれ、業務の効率化や生産性向上が期待できる」が84.7%、「休暇でのリフレッシュが新たな発想やアイデアの創出を促す」が77.3%でこれに続いている。
 傾向としては、健康維持や生産性向上、リフレッシュなど、ゆとり創出による直接的な効果を期待する回答が多い一方、副次的な効果ともいえる採用活動でのアピール向上や社員のロイヤリティ向上への効果を挙げる割合はやや低くなっている。
 なお、「ポジティブ・オフ」運動の認知度について尋ねた結果では、「知っていると」答えた割合が58.3%と6 割近くである一方、そのうち「運動の内容を知っている」は26.4%とほぼ全体の4 分の1、実際に「賛同している」と答えた企業は4.2%にとどまっている[図表2]。

[図表1]年休が取りやすい環境作りや連続休暇制度の整備などは企業にとってどのようなメリットがあると思うか



[図表2]「ポジティブ・オフ」運動の認知度

 

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INDEX
Introduction  調査のポイントと目的
Chapter1   企業にとっての休暇取得促進を図るメリット
Chapter2   2011年度の年次有給休暇取得率
Chapter3   人事担当者から見た自社の「年休の取りやすさ」
Chapter4   休暇取得に対する管理職の意識と対応
Chapter5   自社の年休取得についての改善意向
Chapter6   年休取得の改善を図るための取り組み
Chapter7   年休取得改善への取り組みを支援する手だて