公平理論

公開日 2013.7.22 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・ 社会保険労務士)

公平理論(こうへいりろん)

 人間のモチベーションを「不公平を解消しようとするエネルギー」と捉えて、「大きな不公平を感じるほど、それを解消して、公平性が感じられる状態に近づける行動をとるように動機づけられる」と考える理論。ジョン・ステーシー・アダムスらが提唱した。

 この理論では、「不公平」とは、自分と他人の「仕事の取り組み(努力、投入)」と「対価としての報酬」を比較することによって生じるもので、自分の「報酬/取り組み」が他者のそれよりも低ければ、その不公平を解消するために、自分の報酬を増加させる行動、あるいは仕事の取り組みを低下させる行動をとるように動機づけられるとしている。

 公平理論は、仕事の取り組みや報酬の捉え方が本人の主観によるものとなり、客観性を欠くといった批判もある。その一方で、それまで主流であった「モチベーションを喚起させるものを明確にする」という観点の理論(コンテント理論)と異なり、「モチベーションが喚起されるプロセスやメカニズムを明確にする」という観点(プロセス理論)を新たに導入したことで、ブルームの期待理論などとともに、その後のモチベーション研究に大きな影響を与えた。