公開日 2013.7.22 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・ 社会保険労務士)
認知的評価理論(にんちてきひょうかりろん)
認知的評価が感情や意欲に影響を及ぼすという考え方。ストレスやモチベーションに関する研究の中で提唱されている。
アメリカの心理学者リチャード・ラザルスは、ある出来事が生じた場合、それをどのように捉えるかということ(認知的評価)がストレスに大きな影響を与え、それにより対処行動が決まるものとした。
また、エドワード・デシは、外発的報酬が、次の三つの点から自らの行動に対する認知的評価に変化をもたらし、内発的動機づけに影響を与えるという説を提唱した。
(1)自発的な行動であっても、それに外発的報酬が与えられると、その行動を統制するのは自分ではなく、外部にあるものと認知するようになり、それによって内発的動機づけが弱められる。
(2)自らの行動について、外部から正のフィードバックが与えられ、有能さと自己決定の感情が高められると、それによって内発的動機づけは強化される。
(3)すべての外発的報酬は、「制御的側面」と「情報的側面」の二つの側面を有している。制御的側面が強ければ、外発的報酬は内発的動機づけを弱めてしまうことがある(これを「アンダーマイニング効果」という)。逆に、情報的側面が強く、有能さと自己決定感が高めることができれば、外発的報酬は内発的動機づけを強化する。
ラザルスやデシが提唱した認知的評価理論は、近年、カウンセリングや人事管理の分野において広く用いられるようになっている。