公開日 2013.5.17 深瀬勝範(社会保険労務士、人事コンサルタント)
ブラック企業(ぶらっくきぎょう)
極端に多い時間外労働を強要する、過度な営業ノルマを課すなどにより、労働者を酷使することから、短期間で離職する者が多く、使い捨てのように人材を扱っているとみられる企業のこと。
もともとは、一般企業であるかのように体裁を整えた上で反社会的な活動を行う、暴力団系のフロント企業などを指す言葉であったが、2005年以降、過酷な就労環境下にある労働者が、自社のことを「ブラック企業」とインターネット上の掲示板で称したことに端を発し、仕事がきつい企業を指す言葉として、一般的に使われるようになった。その後、労働者の大量採用と大量退職を繰り返し、特に若年労働者を使い捨てにする企業を指す言葉として、マスコミ等で広く使われるようになった。
ブラック企業に対する明確な定義はないが、次のような特徴があると言われている。
(1)極端に多い時間外労働、休日労働が強要される。あるいは、残業代の不支給、賃金の搾取など、労働法令に抵触する行為が行われている。
(2)過度なノルマが課され、達成できない場合にはパワハラが行われる。仕事に関する指導や教育が行われず、また、労働者のメンタル面のフォローも行われないため、うつ病を患う者も発生する。
(3)上記の事由から、労働者が疲弊しており、職場の雰囲気が悪くなっている。労働者の離職率が高く、退職者を補充するために、労働者の大量採用が常に行われている。
ブラック企業については、「マスコミが騒ぎすぎ(若年労働者を甘やかしている)」という見方がある一方、「雇用の劣化を招く」社会問題と捉えるべきという声も広がってきている。このような中、2013年、自民党の雇用問題調査会が、悪質な行為が認められるブラック企業の社名公表を提言するなど、ブラック企業の対策に乗り出す動きも出始めている。