アウトリーチ


公開日 2013.5.17 深瀬勝範(社会保険労務士、人事コンサルタント)

アウトリーチ(あうとりーち:outreach)

 英語で「手を伸ばすこと」を意味し、もともとは、社会福祉分野において、サービスの提供機関が、潜在的な利用希望者にまで手を差し伸べて、利用を促す技法・活動を指す言葉として使われていた。その後、音楽家自らが人の集まる場所に出向いてコンサートを行うこと、あるいは、研究機関が学校を訪問して出張講義を行うことなど、サービス提供者が利用者のもとへ出向いて積極的に活動すること全般を「アウトリーチ活動」と呼ぶようになった。

 近年、ニート、ひきこもり等の子ども・若者の支援を行う際に、支援者が当事者の家庭を訪問して面談などを行う「訪問支援」において、アウトリーチの技法が積極的に使われている。内閣府では、子ども・若者育成支援推進法に基づき、2010年度より現場の支援員を対象として、「アウトリーチ(訪問支援)研修」を実施し、その技法の普及を進めている。また、厚生労働省では、地域若者サポートステーションにおいて、キャリアコンサルタントなどによるアウトリーチ事業を推進し、若者の就労を支援している。

 アウトリーチによる訪問支援は、実施する側にとっては、コストや時間がかかるというデメリットがある反面、当事者への直接的に働きかけによって大きな効果が期待できるというメリットがあると言われている。