公開日 2013.4.12 深瀬勝範(社会保険労務士、人事コンサルタント)
所得拡大促進税制(しょとくかくだいそくしんぜいせい)
企業による労働分配(給与等支給)の拡大を促進するために、雇用者に支給する給与額を増加させた事業主に対して設けられた税制上の優遇措置。「平成25年度税制改正の大綱」に盛り込まれ、2013年3月29日に成立した「所得税法等の一部を改正する法律」の中の「雇用者給与等支給額が増加した場合の特別税額控除制度」として創設された。
具体的には、青色申告書を提出する法人が、2013 年4月1日から2016 年3月31日までの間に開始する各事業年度において、国内雇用者に対して支給する給与等(所得税法28条で「給与所得」と定められている給与、賞与など)が次の要件を満たす場合、雇用者給与等支給額から基準事業年度(※)の給与等支給額を控除した金額(以下「雇用者給与等支給増加額」という)の10% 相当額の特別税額控除ができるというもの(ただし、特別税額控除額については、当期の税額の10%(中小企業者等については20%)相当額が限度とされている)。
(1)雇用者給与等支給額が基準事業年度の支給額と比較して5%以上増加していること。
(2)雇用者給与等支給額が前事業年度の支給額以上であること
(3)平均給与等支給額が前年事業年度の平均給与等支給額以上であること
なお、雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除制度(雇用促進税制)とは選択適用と定められているため、双方の優遇措置を同時に受けることはできない。
※「基準事業年度」とは、2013年4月1日以後に開始する各事業年度のうち、最も古い事業年度の直前事業年度をいう。