地域ミニマム賃金

公開日 2013.2.7 深瀬勝範(社会保険労務士、人事コンサルタント)

地域ミニマム賃金(ちいきみにまむちんぎん)

 日本労働組合総連合会(連合)では、90年代後半から、地域ごとに労働者の賃金を一定以上の水準に引き上げることを目的とした活動(地域ミニマム運動)を行っているが、そこで設定される地域別最低賃金額のこと。

 地域ミニマム賃金は、各労働組合が実施した賃金実態調査に基づき、地方連合会が独自に設定する。「20、25、30、35、40歳」の五つの年齢ポイント別に設定することとしており、それぞれの年齢における「製造業(または全産業)、男女計」の第1十分位数※の金額が目安となっている。

 春季生活闘争において、連合は、「全労働者の賃金が地域ミニマム賃金を上回るような水準改善を目指す」、「中小企業の労働者については、地域ミニマム賃金算出の過程で集計した300人未満規模の個別賃金データの中位数(あるいは第1四分位数※)を到達すべき賃金水準の参考指標とする」などの形で、地域ミニマム賃金のデータが活用されている。

 なお、連合は、賃金の最低基準額として「リビングウェイジ」も示しているが、これは理論生計費をもとに算出されたものであり、実際に労働者に支払われている賃金をもとに算出される「ミニマム賃金」とは、基本的な考え方が異なるものである。

※分位数:複数のデータを数値の小さい順に並べて、含まれるデータの個数が等しくなるようにいくつかの節に分けたとき、それぞれの節の境目にある数値を「分位数」という。したがって、「第1十分位数」は下位10%の順位のデータ、「第1四分位数」は下位25%の順位のデータとなる。