公開日 2012.10.01 深瀬勝範(社会保険労務士、人事コンサルタント)
カントリーリスク(かんとりーりすく)
海外への投融資や貿易において、相手国の政治情勢の変化、経済・社会環境の変化により、期待されたリターンをあげられなくなる、あるいは債務の回収ができなくなる等の危険性のこと。国際収支や外貨準備高などの経済的指標を基礎として、政治の安定度や社会情勢などを加味して総合的に判断されるもので、OECD(経済協力開発機構)や民間の格付け会社などが公表している。
本来は、金融や貿易分野で取引相手国の信用度を示す指標として使われるものであったが、日本企業の海外進出が進む中で、進出先の国において事業展開をするうえで発生し得る問題点を、広く「カントリーリスク」と捉えるようになっている。この意味での「カントリーリスク」では、政治経済情勢以外にも、治安や生活環境、商慣行や労務慣行、あるいは国民意識など、その国において事業展開をするうえで問題となり得る要素を個々に捉えることが多い。
最近では、尖閣諸島の領有権を巡り発生した反日デモにより、中国国内の日本企業の工場や店舗が破壊されたり、休業を余儀なくされたりするなどの被害を受けたが、これらも、日本企業が中国で事業展開をするうえでの「カントリーリスク」と捉えられている。