公開日 2012.10.01 深瀬勝範(社会保険労務士、人事コンサルタント)
雇止め法理(やといどめほうり)
雇止め(契約期間の満了により有期労働契約が終了すること)について、労働者保護の観点から、一定の場合にこれを無効とする判例上のルールのこと。雇止めに際して発生する労使間のトラブルを防止するために、2012年8月10日に公布された「労働契約法の一部を改正する法律」によって、最高裁判所判決で確立している雇止めに関する判例法理が制定法化された。
具体的には、次のいずれかに該当する有期労働契約について、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」は、雇止めが認められず、従前と同一の労働条件で有期労働契約が更新されたものとみなされる(労働契約法18条)。
(1)過去に反復更新された有期労働契約で、その雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められるもの(東芝柳町工場事件(昭49.7.22 最高裁一小 判決)の要件を規定したもの)
(2)労働者において、有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認められるもの(日立メディコ事件(昭61.12.4 最高裁一小 判決)の要件を規定したもの)
なお、これらの要件に該当するか否かは、当該雇用の臨時性・常用性、更新の回数、雇用の通算期間、契約期間管理の状況、雇用継続の期待をもたせる使用者の言動の有無などを総合考慮して、個々の事案ごとに判断される。