日雇い派遣

公開日 2012.10.01 深瀬勝範(社会保険労務士、人事コンサルタント)

日雇い派遣(ひやといはけん)

 日々または30日以内の期間を定めて雇用される者について労働者派遣を行うこと。

 登録型派遣(派遣元事業主は、通常は労働者を登録しておくだけで、派遣期間中のみ労働者との間で雇用契約を締結する形態)の一種として行われるもので、派遣元および派遣先の企業にとっては、日々の業務量に合わせた労働者数の容易に調整ができる、正社員として雇用するよりもコストを低く抑えられるなどのメリットがある。

 日雇い派遣は、2004年に製造業務での労働者派遣が解禁されたこと、および携帯電話の普及により派遣元と派遣労働者との間の情報伝達が容易になったこと等の要因により、急速に広まった。しかし、2008年末に派遣労働者の大量の雇止め(「派遣切り」)が発生したことから、日雇い派遣が抱える雇用の不安定さや労働条件の劣悪さが問題視されるようになり、2012年10月1日に施行された改正労働者派遣法により、原則として禁止となった。

 なお、日雇い派遣であっても、適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められる業務の場合、または雇用機会の確保が特に困難な場合等は例外的に認められる。具体的には、次に該当する場合は、改正労働者派遣法の施行後も日雇い派遣が認められる。

(1)禁止の例外として政令で定める業務について派遣する場合
ソフトウェア開発、機械設計、事務用機器操作、通訳・翻訳・速記、秘書、
ファイリング、調査、財務処理、取引文書作成、デモンストレーション、添乗、
受付・案内、研究開発、事業の実施体制の企画・立案、書籍等の制作・編集、
広告デザイン、OAインストラクション、セールスエンジニアの営業・金融商品の営業

(2)以下に該当する人を派遣する場合
・60歳以上の人
・雇用保険の適用を受けない学生
・副業として日雇派遣に従事する人(生業収入[主たる業務の収入]が500万円以上の場合に限る)
・主たる生計者でない人(世帯収入が500万円以上の場合に限る)