公開日 2012.8.29 深瀬勝範(社会保険労務士、人事コンサルタント)
厚生年金基金(こうせいねんきんききん)
厚生年金の適用事業所が、一企業単独(単独設立)で、親企業と子企業が共同(連合設立)で、または同種同業の多数企業が共同(総合設立)で、特別法人である「厚生年金基金」を設立し、その基金が、厚生年金の老齢給付の一部の資産運用と支給に関わる業務を国に代わって行い、併せて企業の実情に応じた上乗せ給付を行うことで、加入員の老後の生活の安定と福祉の向上を図る仕組み。
基金が厚生年金に上乗せ給付する部分を「プラスアルファ部分」といい、これは、次の条件を満たさなければならない。
(1)プラスアルファ部分の給付水準は、代行部分の1割程度を確保していること(2005年4月以降に設立する基金については、5割程度まで確保することとされている)
(2)プラスアルファ部分は、半分以上を終身年金とし、65歳以降のプラスアルファ部分の終身年金は、代行部分の5%を下回ってはならないこと
厚生年金保険料率のうち2.4~5.0%分(免除保険料)は、国に納付することが免除され、基金に掛金として納められる。なお、加入員は、保険料とは別に基金が定める掛金を負担するが、これは社会保険料控除の対象となる。
1966年に発足して以来、日本の企業年金制度の中核をなしてきた仕組みであるが、2000年代に入ると、資産運用環境の悪化等により財政的に厳しい状況に追い込まれ、代行部分を国に返上(代行返上)して消滅または解散する基金が出てきている。
2012年8月1日現在の基金数は577、加入員数は443万人、事業所数は11.3万事業所(加入者数と事業所数は現存基金の2011年3月末時点における加入員数・事業所数の合計)となっている。(企業年金連合会調べ)