労働委員会

公開日 2012.07.27 深瀬勝範(社会保険労務士、人事コンサルタント)

労働委員会(ろうどういいんかい)

 集団的労使関係を安定、正常化させることを主な目的として、使用者の代表者、労働者の代表者および公益を代表する者から構成される行政委員会。労働組合法および地方自治法に基づいて設置される。厚生労働大臣の所轄の下に置かれる「中央労働委員会(中労委)」と、都道府県知事の所轄の下に各都道府県に設置される「都道府県労働委員会(都道府県労委)」があり、その主機能・業務は次のとおりである。

(1)調整機能
 労働争議が発生した場合に、労使いずれか一方あるいは双方からの申請に基づいて、公平な立場から紛争解決のための援助を行う機能。労働争議の調整手段としては、あっせん、調停、仲裁の三つがある。2以上の都道府県にわたる事件と全国的に重要な問題に係る事件については、中労委が都道府県労委に優先して管轄する。
(2)判定機能
 労働者側からの申し立てに基づいて、使用者の行為が不当労働行為に該当するか否かを審査し、該当すると判定した場合には、使用者に対して是正命令などを発して労働者側の救済を図る機能。中労委は都道府県労委が行った初審命令に不服がある場合に、申し立てまたは職権に基づき再審査を行う。
(3)労働組合の資格審査
 不当労働行為の救済を申し立てるとき、あるいは法人として登記するときなどに、労働組合は一定の資格要件を備えていることが必要とされるが、その資格の有無について審査する業務。

 なお、近年は、使用者と個々の労働者との間の個別労働紛争が増加していることから、都道府県労委の多くは、個別労働紛争を解決するための援助(個別労働紛争のあっせん)も行っている。