公開日 2012.05.29 深瀬勝範(社会保険労務士、人事コンサルタント)
特定支出控除(とくていししゅつこうじょ)
給与所得者が次の①から⑤の支出をして、これらの1年間の合計額が給与所得控除額を超える場合には、その超えた額を給与所得控除後の金額から差し引くことができる。これを給与所得者の「特定支出控除」という。
①通常必要であると認められる通勤のための支出
②転勤に伴う転居のために通常必要であると認められる支出のうち一定のもの
③職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的として研修を受けるための支出
④職務に直接必要な資格(弁護士、公認会計士、税理士等、その資格を有する者に限り特定の業務を行うことができるものを除く)を取得するための支出
⑤単身赴任などにおいて、その者の勤務地と自宅との間を旅行するために通常必要な支出のうち一定のもの
なお、2013年分以後の所得税については、次のとおり、特定支出控除の適用判定基準の見直し、および特定支出の対象範囲の拡大が行われることになっている。
(1)適用判定基準の見直し
その年中の特定支出の合計額が次に定める金額を超える場合には、その超える部分の金額を給与所得控除額に加算する。
ⅰ)その年中の給与等の収入金額が1500万円以下の場合:給与所得控除額の2分の1に相当する金額
ⅱ)その年中の給与等の収入金額が1500万円を超える場合:125万円
(2)特定支出の範囲の拡大
特定支出の範囲について、次のものが追加される。
ⅰ)職務の遂行に直接必要な弁護士、公認会計士、税理士などの資格取得費
ⅱ)次に掲げる支出(65万円までの支出に限る)
・職務に関連する書籍、定期刊行物、および制服、事務服などを購入するための支出
・職務上関係のある者に対する接待、供応、贈答などの行為のための支出