人事部の部長をはじめとする、人事決裁権を持つビジネスパーソンたちは、現在どのような課題を抱えているのでしょうか。少子高齢化が進み、グローバル化が叫ばれる中でのさまざまな“苦悩”が見えてきます。
◆最大の課題は、「採用」と「育成」
「今、自社で感じている人事上の課題は?」という問いに対し、65%の人が「人材採用」、59%の人が「人材育成」と回答。労務管理、人事評価、人事異動・配置といったほかの業務と大きな差がつきました。
◆採用 -求める人材が集まらない-
「課題を感じている」との意見が最も多かった「人材採用」分野。その中でも多かったのが、「独創性、やりたいことを持って応募する者が少ないと感じる」(IT ・通信)など、「会社が求めている条件やスキルを持った応募者が集まらない」との声です。また、グローバル化を目指すも、「会社の次世代グローバルリーダーが集まらず、海外進出において課題」(メーカー系/素材・医薬品他)などという悩みも目立っています。
「意図した応募者が集まらない」という声については、主にメンバー層の不足をうったえる人が約6割と圧倒的に多く、職種で見ると「サービス・販売系職種」(13.9%)が最も多くなりました。
◆育成 -効果が出ない-
「人材育成」の課題は、「育成しているもののうまく効果が出ない」というものでした。責任感やモチベーションの維持、キャリア形成など、約半数がメンバー層の育成に関する声でしたが、リーダー層やマネジメント層についても「そもそも管理職を目指そうとしない人が多く、管理職が退職しても適当な人材を補充できない」(運輸)と、育成・強化に悩む現場は多いようです。ほかにも、「育ったところで辞められてしまう」辛さや、「多忙のため人材育成に時間が割けない」といった、人事決裁者ゆえの切実な叫びも聞かれました。
◆労務管理 -時間が足りない-
「労務管理」の分野では、「業務量に対して人数が少ないため、どうしても時間超過となってしまう」(サービス)といった、「労働時間の超過が多い」ことが課題のようです。労働時間が長いと自覚しながら、なかなか対応策が打てない人事部のジレンマが見て取れます。また、社員のコンプライアンス意識の問題、各種休暇の取得率の低さなど、課題は多岐にわたることが明らかになりました。
◆人事評価 -機能していない-
「人事評価」では、評価制度が現場でうまく機能していないこと、現状と合っていないことが多く挙がりました。「成果による歩合制を取り入れているが、査定に時間がかかる割に社員のモチベーション向上につながっていない」(IT・通信)、「現状の制度では上からの評価だけ(中略)、360度評価を導入すべきか悩んでいる」(金融・保険)など。ほかに、評価方法、基準のあいまいさや、外国人従業員の評価の難しさといった点も挙がっています。
◆人事移動・配置 -マッチングが難しい-
「各部門の人員希望とマッチする配置転換ができていない」という課題が浮かび上がったのは、「人事異動・配置」の分野。「人事配置の基本は適材適所であるが、適材と考え配置しても人間関係などでうまくいかないケースが多い」など、本人と受け入れ部署の板挟みで悩む人事の苦悩が見られます。「本人が希望するキャリアパスを踏まえた配置ができない」という回答からは、組織自体の硬直化や流動性の低さが、社員のキャリアパスを阻害していることへの危惧が感じられました。
【調査概要】
人事部長100人が打ち明ける「人事部の課題」2012年版
リクナビNEXT調べ
実施時期:2012年1月25~26日
調査対象:企業の人事部長もしくはそれに相当する人事決裁権を持つ立場の人100人
協力:楽天リサーチ
http://rikunabi-next.yahoo.co.jp/01/closeup_1208/index.html