公開日 2012.02.27 深瀬勝範(社会保険労務士、人事コンサルタント)
心理的負荷による精神障害の労災認定基準(しんりてきふかによるせいしんしょうがいのにんていきじゅん)
2011年12月に厚生労働省が策定した精神障害の労災認定基準のこと(平23.12.26 基発1226第1号)。精神障害に関する労災認定審査の迅速化、また精神障害を発病した人の労災認定の促進を図ることを目的としている。この基準のポイントは、次の3点である。
(1)分かりやすい心理的負荷評価表(ストレスの強度の評価表)を定めた
(2)いじめやセクシュアルハラスメントのように出来事が繰り返されるものについては、その開始時からのすべての行為を対象として心理的負荷を評価することにした
(3)これまですべての事案について必要としていた精神科医の合議による判定を、判断が難しい事案のみに限定した
この基準では、対象となる疾病(器質性のものおよび有害物質に起因するものを除く精神障害で、いわゆる心身症は含まれない)が、「発病していること」「発病前おおむね6カ月の間に業務による強い心理的負荷が認められること」「業務以外の心理的負荷及び個体側要因により発病したとは認められないこと」の三つの認定要件をすべて満たす場合は業務上の疾病として取り扱うこととしており、その具体的判断についても示されている。
なお、この基準の施行に伴い、それまで精神障害の労災認定の判断基準とされていた「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」(平11.9.14 基発544号)は廃止された。