公開日 2012.01.26 深瀬勝範(社会保険労務士、人事コンサルタント)
有給休暇引当金(ゆうきゅうきゅうかひきあてきん)
IFRS(国際財務報告基準)において、翌期に繰り越された有給休暇のうち翌期以降に消化が見込まれる日数に相当する賃金を負債計上すること。
IFRSが適用された場合、企業は、当期末(従業員が有給休暇の権利を獲得する役務を提供した時点)において、翌期に繰り越される有給休暇のうち翌期中に取得される日数分にかかる費用を「負債」と認識して、貸借対照表上に「引当金」として計上する。具体的には、次の式で算出される。
有給休暇引当金 = 繰り越された有給休暇日数×平均有給休暇取得率×1日当たりの賃金
なお、損益計算書上は、前年度と今年度の有給休暇引当金の差額のみが処理される。
IFRSが適用された場合、多額の有給休暇引当金を計上すると、負債金額が膨らみ自己資本比率の低下を招いたり、社外から「有給休暇の繰り越しが多い会社(=働きにくい会社)」という評価が下されたりする可能性がある。今後、IFRSが適用される企業では、有給休暇引当金の圧縮に向けて、年休取得を促進する(年休の繰り越し日数を減らす)動きが出てくるものと考えられる。