公開日 2011.11.21 深瀬勝範(社会保険労務士、人事コンサルタント)
オランダ・モデル(おらんだ・もでる)
1980年代から2000年にかけてオランダで実施された一連の雇用政策の総称で、「ポルダー(開拓地)・モデル」とも呼ばれる。雇用政策のポイントは、次の3点である。
(1)ワーク・シェアリング(仕事の分かち合い)導入により雇用を確保する
(2)フルタイム労働者とパートタイム労働者との間で労働条件に格差を付けることを禁止する
(3)労働者がフルタイム労働とパートタイム労働とを選択できることとする
1970年代以降、景気低迷や失業率上昇などに見舞われていたオランダでは、1982年に、労・使・政の三者間で「労働側は企業業績向上のために賃金の削減に協力する、企業側は雇用確保のための労働時間短縮を認める、政府は労働者の所得減少を補うために減税と社会保障負担の削減等を行う」という合意(ワッセナー合意)に達した。この流れをくんだ労働関連法令の改正によって、ワーク・シェアリングが進んだことから、失業率の下落と経済成長の安定化を実現することができた。このようなオランダの成功例は、同様の問題を抱える先進国の参考となるものであり、「オランダ・モデル」と呼ばれるようになった。
日本では、2008年のパートタイム労働法の改正や短時間正社員制度の導入などに「オランダ・モデル」の影響が見られる。