障害者雇用納付金制度

公開日 2011.10.25 深瀬勝範(社会保険労務士、人事コンサルタント)

障害者雇用納付金制度(しょうがいしゃこようのうふきんせいど)

 障害者の雇用に伴う事業主の経済的負担の調整と全体としての障害者の雇用水準を引き上げることを目的として、①法定雇用率未達成企業(常用労働者200人超)から納付金を徴収し、②雇用率達成企業に対して調整金、報奨金を支給するとともに、③障害者の雇用の促進などを図るための各種の助成金を支給する制度。

 障害者を雇用するには、作業施設や設備の改善、特別の雇用管理などが必要とされ、障害者雇用率制度に基づく法定雇用率(常用労働者数に対する身体および知的障害者数の割合のことで、一般の民間企業は従業員数の2.0%)を守り雇用義務を履行している企業とそうでない企業とでは、経済的負担の差が生じることになる。この経済的負担を調整するとともに、障害者の雇用の促進と職業の安定を図るため、雇用障害者数が法定雇用率を下回っている企業から納付金を徴収し、法定雇用率を超えている場合は調整金を支給する仕組みである。

 雇用率未達成の企業の納付金は、不足1人当たり月額5万円(常用労働者200人超300人以下の事業主は4万円)であり、一方、雇用率を達成している企業に支給される調整金は、超過1人当たり月額2万7000円(労働者数200人以下の企業に支給される報奨金は、常時雇用している労働者数の4%または6人のいずれか多い数を超えて雇用する障害者1人当たり2万1000円)となっている。また、調整金、報奨金以外にも、障害者雇用のために作業施設の整備等を行った事業主に対する助成金(障害者作業施設設置等助成金)も支給されている。