公開日 2011.10.25 深瀬勝範(社会保険労務士、人事コンサルタント)
個別労働紛争(こべつろうどうふんそう)
労働関係の事項に関する、個々の労働者と事業主との間の紛争のこと。労働者の募集および採用に関する事項についての個々の求職者と事業主との間の紛争も含まれる。
代表的な紛争解決手段である裁判制度は、手続きが複雑なうえに多くの時間と費用を要するため、紛争の当事者には利用しにくいものであった。そこで、2001年に個別労働紛争の未然防止、迅速な解決を促進することを目的として「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」が施行され、次の制度が用意された。
(1)総合労働相談コーナーにおける情報提供・相談
(2)都道府県労働局長による助言・指導
(3)紛争調整委員会によるあっせん
これまでの労働関係紛争は、使用者と労働組合による「集団的労働紛争」が中心であったが、近年、人事労務管理の個別化、労働組合に加入しない労働者の増加などの環境変化を反映し、個々の労働者と事業主との間での個別労働紛争の件数が増えてきている。厚生労働省「個別労働紛争解決制度施行状況」によると、2010年度の民事上の個別労働紛争の相談件数は24万6907件で、過去最高を更新した2009年度と同水準で高止まりしている。