公開日 2011.10.03 深瀬勝範(社会保険労務士、人事コンサルタント)
ファントム・ストック、phantom stock(ふぁんとむ・すとっく)
役員や従業員に対して、現実の株価と連動して価値が定まる株式を付与したと仮定し、それをあらかじめ定められた期間経過後に会社に売却したものとして、期間中の配当相当額と株価の上昇額(株式付与時と会社への売却時の株価の差額)を、現金等で支払う報酬制度。ストック・オプションと似た仕組みであるが、次の点が異なる。
(1)ストック・オプションでは、会社は、対象者に株式購入権を与えるだけで、現金支出を伴うものではない。ファントム・ストックでは、対象者に実際に報酬を支払うため、現金支出が発生する
(2)ストック・オプションでは、発行済み株式数が増加することにより、一株当たりの価値の希薄化や資本構成の変化が生じるが、ファントム・ストックでは、実際に株式を発行するわけではないので、それらは生じない
アメリカでは一般的に行われている仕組みであるが、日本でも2000年代以降に導入する企業が出始めている。ただし、株価が上昇しないとインセンティブ効果が弱くなってしまうこと、利益等の業績によって支給額を決定する業績連動型賞与のほうが会社として管理しやすいこと等の理由から、日本におけるファントム・ストックの活用はあまり進んでいない。