トラッキング・ストック

公開日 2011.10.03 深瀬勝範(社会保険労務士、人事コンサルタント)

トラッキング・ストック、tracking stock(とらっきんぐ・すとっく)

 特定の事業部門や子会社の業績と株価とを連動させて、投資家に対する配当を提供する株式のこと。事業部門や、子会社を所有している親会社がトラッキング・ストックを発行し、それにより調達された資金も親会社のものとなる。また、株主としての議決権は親会社に対して発生する。トラッキング・ストックを活用するメリットは次のとおりである。

(1)親会社は、事業部門や子会社に対する支配権を維持したまま、成長性が高い事業を行うための資金を効果的に調達することができる。
(2)発行対象となる事業部門や子会社の従業員の業績に対する意識を高め、モチベーションを向上させることができる。

 アメリカにおいては、1980年代後半からトラッキング・ストックが発行されていたが、日本においては、2001年にソニーが子会社のソニーコミュニケーションネットワークを対象とする子会社連動株式(日本版トラッキング・ストック)を発行した事例が最初である。しかし、配当の仕組みが複雑になる、親会社が子会社等の情報開示を的確に行わない可能性がある等の問題点もあるため、その後、日本ではトラッキング・ストックの活用は広がっていない。