財務レバレッジ

公開日 2011.08.18 深瀬勝範(社会保険労務士、人事コンサルタント)

財務レバレッジ(ざいむればれっじ)

 総資本が自己資本の何倍に相当するかを示す指標。「総資本÷自己資本」で算出され、自己資本比率の逆数ともとらえられる。「レバレッジ」とは「てこ(梃子)」のことで、総資本利益率(ROA)が利子率よりも高ければ、財務レバレッジを高めること(すなわち、負債を積極的に活用すること)によって、自己資本利益率(ROE)を大きく高めることができるところから、この名称が付けられている。

 財務レバレッジによって自己資本利益率が大きく高まることを、例を挙げて説明する。自己資本100万円、負債100万円(利子率5%)の下で20万円(営業利益25万円から利払い5万円を控除した額)の経常利益を出す事業があるとする。この事業の総資本利益率は10%(=20万円/200万円)で、負債にかかる利子率よりも高くなっている。ここで、自己資本を100万円としたまま負債を300万円として、総資本および事業を2倍に拡大する。事業拡大により営業利益は50万円となり、そこから利払い15万円を控除した当期利益は35万円となる。自己資本利益率を見ると、負債の増額前は20%(=20万円/100万円)であったが増額後は35%(=35万円/100万円)に上昇する。

 このように負債の活用によって自己資本利益率が大きく高まることを「レバレッジ効果」といい、その効果の強さを示す指標が財務レバレッジ(総資本÷自己資本)である。