総資産回転率

公開日 2011.08.18 深瀬勝範(社会保険労務士、人事コンサルタント)

総資産回転率(そうしさんかいてんりつ)

 売上高を総資産で割ったもので、経営の効率性を示す指標。数値が高いほど、資産を有効活用して売上高の向上に結び付けていることを示す。なお、総資産は総資本と同額であるから、分母を総資本に置き換えても同じ結果となる。これは「総資本回転率」と呼ばれ、投下資本を有効に活用しているかどうかを示す指標となる。

 総資産回転率を高める施策には、次のものがある。
(1)総資産を変えずに売上高を増やす。例えば、営業を強化して、現在の生産能力の上限に達するまで販売量を増やす。
(2)売上高を変えずに総資産を減らす。例えば、遊休資産の処分や在庫削減等により総資産を圧縮する。

 総資産回転率は、総資産利益率(ROA)の一部分としてとらえることもできる。この場合、「総資産利益率=売上高利益率×総資産回転率」としたうえで、収益性(利益率)と効率性(回転率)のどちらを改善するべきかを判断する。

 財務省「法人企業統計調査」によれば、日本企業(金融保険業を除く)の総資本回転率(総資産回転率)の平均値は、2007年度が1.17、2009年度が0.95であった。この総資本回転率の低下の主な要因は、2008年秋に発生したリーマン・ショックの影響による売上高の減少によるものと考えられる。