公開日 2011.07.28 深瀬勝範(社会保険労務士、人事コンサルタント)
世代会計(せだいかいけい)
一人の人間が一生のうちに政府に支払う「負担」と、政府から受け取る「受益」を世代ごとに推計し、世代間の損得勘定を評価する手法。財政政策や社会保障制度を検討するときに用いられる。
一般的には、世代会計における「負担」とは税金や社会保険料を、「受益」とは公的年金や医療給付等を指す。負担から受益を引いた「純負担」の総額を「生涯純負担」といい、これを「生涯所得(賃金収入、年金収入等をすべて合計した額)」で割ったものを「生涯純負担率」という。世代間格差の分析は、この生涯純負担率に着目して行われることが多い。
世代会計は人口推移や生産性の見通し等の条件設定によって数値が異なってくるが、少子高齢化が進んでいる日本では、どのような条件を設定しても次のような結果が出てくる。
(1)生涯純負担は、高齢者でマイナスになり、若年者はプラスになる(若年層は受益よりも負担が大きい)。生涯純負担率でみても若年者は高齢者よりも高い。
(2)他国と比較しても、日本の将来世代にかかる負担は重く、世代間不均衡が大きい。
世代間の受益と負担のバランスが崩れることは、社会保障制度の存続基盤を危うくする。そこで、近年、世代間不均衡を小さくする方向で、税制や年金給付の見直し等が検討されている。