従業員持株会制度

公開日 2011.07.07 深瀬勝範(社会保険労務士、人事コンサルタント)

従業員持株会制度(じゅうぎょういんもちかぶかいせいど)

 従業員が拠出金を出し合って、自分達が勤務している会社の株式を取得する制度のこと。自社株式を取得する従業員に対して、会社から奨励金の支給、購入資金の貸付、株式買付手数料や保有株式管理のための事務費等の負担などの援助が行われることもあり、この場合は、「持株援助制度」とも言われる。

 従業員側は「中長期的な資産形成ができる」「少額の資金で市場売買単位未満の株式が購入できる」というメリットがあり、一方、会社側は「従業員の経営参画意識を高め、モチベーションを向上させることができる」「従業員持株会という安定株主を得て、敵対的買収リスクを低減できる」等のメリットがある。

 従業員に自社株式の保有させる施策には、この他にも「ストック・オプション」があるが、これは自社株を一定の価格で購入できる権利を付与するもので、実際に株式を購入する従業員持株会とは異なる。また、アメリカで普及している「ESOP(Employee Stock Ownership Plan=企業拠出による従業員持株制度)」は、退職時に株式(またはその相当額)を対象者へ支給する報酬制度の一種であり、(1)原則として従業員全員を適用対象とする、(2)一定年齢以上の退職時まで引き出しができない――という特徴がある。これに対して、日本の従業員持株会制度は福利厚生制度の一環として行われ、従業員のうち希望者のみが加入し、いつでも引き出しできるということから、両者は異なる仕組みととらえられている。