社内預金制度

公開日 2011.07.07 深瀬勝範(社会保険労務士、人事コンサルタント)

社内預金制度(しゃないよきんせいど)

 会社が労働者の委託を受けて貯蓄金を管理する制度。

 労働基準法18条1項では「使用者は、労働契約に附随して貯蓄の契約をさせ、又は貯蓄金を管理する契約をしてはならない」と定めているが、次の要件を満たす場合には、労働者の委託を受けて貯蓄金を管理することが認められている。

(1)貯蓄金の管理に関する労使協定を締結して、行政官庁に届け出る。
(2)貯蓄金の管理に関する規程を定め、作業場に備え付ける。
(3)労働者の預金の受け入れる場合、厚生労働省令で定める下限利率(2011年4月1日現在では0.5%)以上の利子をつける
(4)労働者が貯蓄金の返還を請求したときは、遅滞なく、これを返還する。

 現在の社内預金制度は1952年の労基法改正によって法整備がなされ、その当時から法定の下限利率(6%)が高く設定されていたこと、金融機関の窓口に行かずに会社で預金の手続きができること等のメリットにより、労働者に広く利用される仕組みとなった。その後、市中金利の変動に合わせて下限金利の引き下げが行われたこと、金融機関のオンライン化が進んだことから、社内預金に対する労働者側のニーズは小さくなり、制度を廃止する企業が出てきた。

 厚生労働省「平成21年就労条件総合調査」によれば、社内預金制度がある企業数割合は4.6%であり、10年前の同調査(7.6%)と比較すると導入企業数割合は減少している。