成果配分方式

公開日 2011.07.07 深瀬勝範(社会保険労務士、人事コンサルタント)

成果配分方式(せいかはいぶんほうしき)

 営業利益等の経営指標から、対象とする報酬額(原資)を算出する計算式をあらかじめ定めておくことにより、企業活動の成果と結び付けて従業員の報酬を決定する方式のこと。

 成果配分方式には、次のような長所がある。

(1)企業業績に応じて報酬が自動調整されるため、合理的な人件費管理を行うことができる
(2)昇給、賞与の労使交渉において、その都度、報酬総額について協議する手間が省ける
(3)報酬決定の仕組みが明確になることにより、従業員の報酬に対する納得性が高まる
(4)業績が向上すれば報酬も増えるため、従業員のモチベーションが高まる。

 成果配分方式は、1930年代のアメリカにおいて誕生した考え方で、主なものとしては、生産高に労務費率を乗じて報酬総額を決定する「スキャンロン・プラン」や付加価値を基準として報酬総額を決定する「ラッカー・プラン」等がある。

 日本では、成果配分方式は賞与に取り入れることが多く、これを「業績連動型賞与」と呼ぶ。労務行政研究所が2010年に実施した調査によれば、上場企業等283社のうち業績連動型賞与を導入している企業割合は35.2%であり、賞与の算定に用いる経営指標としては営業利益、経常利益、売上高が、主に使われている。