公開日 2011.07.07 深瀬勝範(社会保険労務士、人事コンサルタント)
ワーキングプア(わーきんぐぷあ)
働いてはいるものの給与収入が少ないため、生活を維持することが困難な労働者のこと。
ワーキングプアとする年収については明確な基準はないが、公的統計等に照らしてその人数規模をとらえる際には「年収200万円以下」を目安とする例が多くみられる。ちなみに、国税庁「民間給与実態統計調査」によれば、2009年において年収200万円以下の労働者は1100万人に達しており、1年間を通じて勤務した労働者の24.4%を占めている。
ワーキングプアの出現は多くの先進国で社会問題となっているが、日本でも2006年頃からマスコミで頻繁に取り上げられたことから関心が高まった。
日本においてワーキングプアが増加してきた背景には、次のことが挙げられる。
(1)景気の先行き不透明感が高まる中で、企業は人件費削減のために、正社員の給与水準を引き下げたり、正社員の代わりに非正規社員を雇用したりする等の対応をしてきたこと
(2)労働者派遣法の改正により、製造業においても派遣労働が利用できるようになり、給与水準が低い派遣労働者が増加したこと
政府も、パートタイム労働法や労働者派遣法を改正し、非正規社員の処遇の向上を図る等の対策を行っているが、厳しい雇用情勢が続く中で、ワーキングプアの数は減らない状況にある。