公開日 2011.06.24 和田東子(HRDジャーナリスト)
メラビアンの法則(めらびあんのほうそく)
「メラビアンの法則」は「コミュニケーションにおいては非言語情報が重要で、言語情報はほとんど伝わっていない」ということを証明した実験および法則だとの誤解が広く流布しているが、これは俗説である。
基となったのは、アメリカの心理学者アルバート・メラビアン(Albert Merabian)が行った実験である(1969年、メラビアンの実験)。人はコミュニケーションにおいて、視覚情報、聴覚情報、言語情報の3種類の情報を使っている。メラビアンはこれらの情報が互いに矛盾するとき、どの要素がどのように伝わるのかを調べようとした。
実験ではまず、異なる声のトーンと表情で発話された数種類の単語が用意された。被験者はその言葉と表情を見聞きし、発話者がどのような気持ちでいるのかを判断した。
その結果、単語そのものの意味よりも、発話者の声のトーンや身振り等から、発話者の感情を判断した件数が多いという結果が得られた。このとき発表されたのが以下の数字である(“Silent Messages”1971年)。
言葉:Verbal(言葉そのものの意味)=7%
声:Vocal(声のトーン、口調など)=38%
態度:Visual(表情、しぐさなど)=55%
この実験は、前後の文脈から切り離された単語を使っており、実験室での実験結果でしかないこと、あくまでノンバーバル(非言語)コミュニケーションの重要性に気付き、自身のコミュニケーションスキル向上に役立てることを目的とした実験であり、科学的根拠に基づいて証明された数値ではないとメラビアン自身も述べている。
ところが一時期、ビジネススキルアップセミナー、自己啓発セミナー等で冒頭のような紹介がなされたため、多くの誤解を呼んだ。
■参考サイト
Speaking about Presenting/Mehrabian and nonverbal communication
http://speakingaboutpresenting.com/presentation-myths/mehrabian-nonverbal-communication-research/