公開日 2011.06.24 和田東子(HRDジャーナリスト)
assertion(あさーしょん)
自分も相手も大切にするコミュニケーションスキル。初出は1949年のAndrew Salterによる『条件反射療法』。彼は、多くの人は子供時代に受けた躾(しつけ)などの結果、過度に抑制的になっているため、アサーション(自己主張)が必要であると説いた。
1960年代には臨床心理学の行動療法として、「他者に対する不安以外の適切な情動表出行動」を目指すアサーション・トレーニングが開発された。1970年代から80年代には、アサーション研究はブームとなったが、その定義を巡って多くの議論を呼んだ。不適切な自己主張と適切な自己主張の線引きが、議論の争点となったのだ。
いくつもの議論を経て、1980年代には「対人効果性」という概念が提出された。そして「自らの目標獲得」「相手との関係性維持・改善」「自尊心の維持・向上」という三つの効果を得る方法であるとの定義が一定の賛同を得た。
現在、アサーションは、社会的スキルの枠組みの中で研究が進められている。2000年代後期にはアサーションは“2度目のブーム”を迎えたが、それは雇用形態の多様化や職場環境の流動性が高まったことから、従来以上に高度なコミュニケーションスキルを求める人が増えたことを示唆している。
現在アサーションでは自己主張の種類を、「攻撃的主張」「受け身的主張」「アサーティブな自己主張」の三つに分類し、「アサーティブな主張の仕方」を教示している。
■参考文献
『行動療法におけるアサーション・トレーニング研究の歴史と課題」三田村 仰(『人文論究 58(3)』P95-107, 2008-12)