労働条件の原則

公開日 2008.10.03 あした葉経営労務研究所

労働条件の原則(ろうどうじょうけんのげんそく)

●労働基準法において労働条件は、人間としての価値ある生活が可能となるものでなければならないという原則である。

●憲法27条2項の規定に基づき制定された労働基準法において、1~7条は「労働憲章」ともいうべきもので、労働関係法の基本原理を明らかにするとともに労働者の人権の擁護を図ろうとする規定となっている。

●とりわけ1条(労働条件の原則)は、基本理念として「労働者が人たるに値する生活を営む必要を充たすべき」労働条件を定めることを宣言している。これは憲法25条1項(生存権)に規定する「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と同趣旨である。

●さらに1条では、本法で定める労働条件はあくまで最低の労働条件であるので、労働関係の当事者は、本法の基準を理由として労働条件を引き下げてはならないことはもとより、さらなる向上を図るべく努力することを義務付けている。

●「労働条件」とは賃金、労働時間、休日・休暇、解雇、災害補償、安全・衛生等、労働者の職場における一切の待遇をいう。

●なお、本法の基準を理由として、労働条件を低下させた場合であっても、本法の基準を下回らない限り、私法的な効力に影響はないとされている。本条は罰則もなく、全体として訓示規定であると解されている。

【労働基準法における罰則のない規定例】
 ・労働条件の原則(1条2項)
 ・労働協約等の遵守義務(2条2項)
 ・徒弟の弊害排除(69条)
 ・寄宿舎生活の自治(94条1項)
 ・寄宿舎生活の秩序(95条4項)
 ・年次有給休暇取得の不利益取り扱い禁止(法附則136条)

■関連用語
 労働基準法

(あした葉経営労務研究所 代表/株式会社キャリア・ブレーン 認定キャリア・コンサルタント 本田和盛)