就業規則の意義

公開日 2009.10.02 あした葉経営労務研究所



●労働基準法が規制する「就業規則」は、使用者が画一的に定める賃金・労働時間等の労働条件、労働者が職場において遵守すべき服務規律等を明文化したものである。事業場におけるルールであり、多数の労働者が協働する事業経営において、効率化な労務管理を行う上で必要不可欠な存在である。なお、前記の内容を目的として、労働者を規律するものであれば「工場規則」「従業員規程」等の名称のいかんを問わない。

●労働基準法においては就業規則の記載内容、作成手順、運用について規定を設け、常時10人以上の労働者が所属する事業場については、作成した就業規則を行政官庁に届け出ることを義務付けている(労働基準法89~93条)。これにより労働基準法の定める規定が遵守されているか否かを監督する仕組みとなっている。

●労働契約法7条は、「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする」と規定する。使用者が合理的な労働条件を就業規則で定めており、かつ周知をしていれば、雇入れ時の労働契約内容とすることができる。

●就業規則の法的性質については、学説等の対立があったが、秋北バス事件(最高裁大法廷 昭43.12.25判決)において、「経営上の要請に基づき、労働条件の統一的かつ画一的決定を定めた就業規則はそれが合理的な内容を定めている限り、経営主体と労働者との間の労働条件はその就業規則によるという事実たる慣習が成立しているものとして、法的規範性が認められる。当該事業場の労働者は就業規則の内容を知っているか否かに関わらず、また、これに対して個別的同意を与えたかどうかを問わず、当然にその適用を受ける」と判断された。

●使用者が一方的に制定する就業規則が、なぜ労働契約の内容となり労働者を拘束するのかという問題や、さらに就業規則の合理性を担保しつつも、就業規則によって労働条件の不利益変更がなぜ可能かという問題については学説上も争いがあり、秋北バス事件最高裁判決が出た後も、決着がみられていない。


■関連用語
労働契約法
事業
労働条件の原則
労働条件の決定


(あした葉経営労務研究所 代表/株式会社キャリア・ブレーン 認定キャリア・コンサルタント 本田和盛)