公開日 2011.03.01 和田東子(HRDジャーナリスト)
ウルリッチの人事部の4つの役割(うるりっちのじんじぶの4つのやくわり)
デイビット・ウルリッチ(David Ulrich)が定義した人事部に求められる4つの役割(1997年)。ウルリッチは「将来-日常」「プロセス-人」の2軸で人事部の役割をとらえ直し、「戦略パートナー/Strategic Partner」「管理エキスパート/Administrative Expert」「従業員チャンピオン/Employee Champion」 「変革エージェント/Change Agent」という4つに整理した。
ウルリッチが革新的だったのは、人事部が実際に従事している活動(採用、育成、評価など)の視点から、行為として何ができるか(doable)ではなく、どのような価値や貢献を経営に提供することが可能なのか(deliverable)という観点から役割を再定義したことによる。
従来の人事・人材開発部門は、給与、評価などの処遇や就業規則の管理運営を行う「管理エキスパート」としての役割に偏重していた。もちろんこの機能は企業にとって不可欠だが、今日では社内部門としておく必要性は総体的に低下している。すでに一部アウトソースする例も少なくないように、アウトソーシング可能な仕事は生産性が高いとはいえない。そのため企業の“将来”により関わる役割として、戦略パートナーと変革エージェントが注目されたのである。
■参考文献
『人事担当者が知っておきたい10の基礎知識。8つの心構え』労務行政研究所編(2010)
『MBAの人材戦略』D.ウルリッチ著(日本能率協会マネジメントセンター、1997)