公開日 2011.03.01 和田東子(HRDジャーナリスト)
デミング理論(でみんぐりろん)
「品質管理の父」と呼ばれたW・エドワーズ・デミングが1950年代に体系化し、発表したマネジメント理論。欧米では「デミング哲学」とも呼ばれる。
デミングが目指したのは品質の維持 ・向上および、継続的な業務改善活動を推進することであり、計画(Plan)→実行(Do)→検証(Check)→改善(Action)のサイクルを繰り返す「PDCAサイクル」はその実践的モデルとして広く知られている。PDCAサイクルはデミングサイクルと呼ばれることもある。
デミングは戦後復興のために日本科学技術連盟に招待され(1950年)、技術者や経営者に対して多数の講演を行った。そこで展開されたデミングの理論は品質管理、業務改革における基礎理論となり、戦後の日本経済の発展に大いに貢献した。
このときデミングは日本の全ての主要企業の経営者に会い、経営トップが品質管理を先導することの重要性を説いたといわれる(当時は欧米企業でも経営トップが経営改革にコミットすることは一般的ではなかった)。
1987年にはアメリカでマルコム・ボルドリッジ賞(国家品質賞)が設立されたが、この賞は日本の品質管理手法にならったものであり、1990年代のアメリカの復活の原動力になったと言われている。また、PDCAサイクルはISO 9000(品質改善)やISO 14000(環境改善)などの管理システムの基盤理論にもなっている。
■参考文献
『二大博士から経営を学ぶ~デミングの知恵、ゴールドラットの理論』ドミニコ・レポール、オデッド・コーエン著(生産性出版、2005)
『デミングの組織論~「関係知」時代の幕開け』武田 修三郎著(東洋経済新報社、2003)